宮崎雑感 4
 宮崎優
今を生きる


 花の栽培で最も関心をもっているのは‘花スベリヒユに接木’である。この花は花期が長くて美しくしかも強健で乾燥や潮風にも極めて強いが、連作できないという致命的な欠陥を持っている。かって桂浜の花街道も夏は花スベリヒユで埋まっていたが上の理由で今は姿を消した。草勢が強く寿命が長くて連作が可能な‘ドイツ作出の松葉ボタン’への接木を考えている。今年はダリアの挿芽も成功させたい。
 昨年暮れの29日から始めた岩波『四字熟語辞典』は今年中に書き取りを終わり見返しを始めるようにしたいと思っている。70才を越えたが多少夢を持ち、その実現に向かって努力していきたい。           2003年1月17日

追記

「貧窮問答の歌」の「語訳」と「鑑賞」を読み返し、その情景を頭に浮かべながら歌を朝・昼・晩と詠んだ。そして題を見るとすぐこの歌のドラマが頭の中で展開されるようになり、歌が滞りなく朗詠できるようになった。たまらなく嬉しい。これからも折に触れて朗詠を繰り返しいつまでも忘れられない歌となるようにしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

岡本昭三さんからの年賀状に『初歩線形代数』を自費出版しましたと書いてあった。先日藤井幸一さんに電話したとき、岡本さんがすべてのページをパソコンで打ち出したので僅か15万円で製本されたこと、昭和57年に 出版し高知高専の授業でも使用した『線形の代数』よりも一段と充実した素晴らしい一書だと聞き、その不断の努力に頭が下がる思いがした。
 
岡本さんは名前が示しているように昭和3年生まれの74歳で私より2最年長である。難聴で補聴器を付けてもの話が充分聞き取れなく耳鳴りも醜いはずなのに意志が強い。
 私は平成6年に高知高専を退職したが引き続き同校の非常勤講師をしていたので、授業と家での花・野菜作りで退屈することもなく暮らしていた。一昨年同非常勤を退いてから遅まきながら「これからどのように過ごしていこうか」と考えるようになった。
 平成13年春からは、@浜田清次先生の名著『万葉集を読む』を繰り返し読み一首でも多く歌を覚えよう。出来れば短歌はすべて覚えたい。A花の培法に改良を加え成功した時はその方法を花好きの人達に伝えたい。この2つを生活の目標に置いて日々を送っている。そして13年春から始めたパソコンで日記をつけ折に触れて「雑感」を書くことと、週1回ポランテイアで高専の学生や高校生の勉強を見ることも続けようと思っている。
 この所新聞を読んだ後『万葉集を読む』を開くのが日課になっている。
上巻の短歌はすべて憶え今は下巻で、山上憶良の「貧窮問答の歌」に取り組んでいる。「語訳」、「口語訳」に続く「鑑賞」を読んで、憶良が地方で暮らす極めて貧しい人達に光を当てて詠んだこの長歌に感動した。10回でも20回でも完全に憶えるまで繰り返しよむことにしよう。