宮崎雑感 9
入院を控えて
宮崎優
 

1月6日から前立腺癌の治療のため亀○クリニックに入院して、中央病院で30回放射線の照射を受けることになった。昨春、前立腺肥大の検査の時行ったPSAに続く組織採取検査で癌であることが判明し、MRI等の検査で骨に転移していないことも分かっていた。
 手術による摘出、放射線治療、新しい内照射療法のうち体力と国体の花のことを考えて、短期間で終わる内照射療法を希望し6月に高知医大病院に入院した。しかし合併症に係わる病院側の都合により手術を中止し、亀○クリニックでホルモン療法を続けていた。これが効いたのであろう昨年暮れの2回目の組織採取検査では癌細胞は発見されなかった。今回は入院日数を気にする必要がないので放射線療法を行うことにした。
 私の知人や親戚には前立腺癌で亡くなった方が何人かいるが、どなたも発見されたとき手遅れであった。この癌は進行が遅くて自覚症状がなく骨に転移しやすいようである。泌尿器の診察と手術で評判の高い亀○クリニックで前立腺肥大の治療を受けようと思い診察を受けたことが癌の早期発見に繋がり幸運であった。
 昨年12月29日、高新1面に「天皇陛下前立腺がん」の見出しで「宮内庁は28日、天皇陛下の前立腺に癌細胞が見つかった」と発表した。1月中旬に東大病院で、同病院泌尿器科と国立がんセンターの合同チームの執刀で前立腺の全摘手術を受けられる。がんは進行の程度が遅い「高分子型腫瘍」で、記者会見した金澤一郎・皇室医務主幹は「比較的たちの良い腫瘍。前立腺以外への転移はないと判断され、手術を受ければ根治する可能性が高い」と話したとの記事が出た。天皇陛下の手術による全快を国民の一人として願わずにはいられない。
 かって癌は不治の病だった。浜田清次氏の「万葉集を読む上巻」によると、曽我氏を滅ぼし大化の改新を断行した天智天皇は天皇になって10年目の秋、心身の疲労が重なって発病した。同氏は壬申紀に「痛みたもふこと甚だし」と書いてあることから「癌だったと思います」と述べられている。現在は医学の進歩により早期発見であれば胃癌、腸癌、前立腺癌などは治るようになった。有難いことである。治療が終わり退院したらまた好きな花作りをしたいし、落ちこぼれかけている若者の勉強も見たいと思っている。
                       
                       2003年1月1日