その１　儀式をするのは人間である証

平成15年3月21日、江田島では第53期一般幹部候補生と第55期飛行幹部候補生の卒業式が行われた。

最近のたるみきった卒業式にたまげているワタクシは、正統派の卒業式を見たいと江田島に潜入した。もはや理想とする卒業式は自衛隊でしか見られないのだろうか？

最近の学校では「気をつけ」「礼」「休め」など基本的な動作を教えないし、先生も教えられない。軍国主義につながるといっとけば、手抜き教育ができる。

このようにして、5分間も黙って座れない生徒が生産される。

動物と人間の決定的な違いは儀式をするかしないかだ。

その２　「君が代」斉唱のお手本

大学で４年間も勉強して、ここ江田島の学校で1年間も勉強と訓練をしての旅立ち。だから、卒業式もハンパではない。

その昔、カンニングと代返で卒業してしまったワタクシですから、非常に反省している訳です。

一言でいえば「立派な大人の卒業式」でした。一糸乱れぬ行動で壇上に進み、学校長から卒業証書を受け取る一連の流れは見ているこちら側まで気合がはいるのです。何十年か振りに本格的な「君が代」を聞きました。自衛隊の協力団体の式典でも「君が代」を斉唱しますが、まともに歌っている人を見たことありません。早く会を終えて一杯飲みたいと言うとイヤラシさが見え見えなのです。

その３　朝日新聞と赤旗の取材人はどこだ？

この日、アメリカが戦争を始めたものだから、取材人が押しかけているかと思っていた。しかし、赤旗も朝日新聞もいなかった。売れる新聞を作るには、江田島の卒業式ではダメかしら？式が終って講堂から出てきた卒業生を捕まえたＴＶクルー。カメラマンが画像を撮りながらインタビュー。マイクを持つのは多分アシスタントのアルバイト。しょーもない仕事せんと自衛隊に入隊する気はないかね？突然マイクを突きつけられ、「今のお気持ちは？」とか「幹部自衛官としての抱負は？」なんてアバウトな質問されてもねえ。面倒くさいから「はい、疲れちゃって任官拒否したいです」なんてギャグかますか、放送禁止用語を連発するかで逃げ切ってみたらいかがでしょう。

その４　「愛と青春の旅立ち」は本当か？

幹部候補生の卒業式はまさに「愛と青春の旅立ち」です！この言葉にダマされて卒業式に潜入したというのがホンネです。同名のリチャード・ギア主演映画を久し振りに観て情報収集をしました。アメリカ海軍のパイロットが一人前になるまでの物語だったけど、恋愛映画の域をぬけておりませんでした。学校では鬼教官の下でへとへとになるまで訓練しているのに、夜は女を軟派して元気いっぱい。さすがアメリカ海軍！画面にボカシが入ったりでＲ指定か？とびびった次第です。アメ公このようにして幹部になっていくのね。ひょっとして我が自衛隊の候補生もやっていたのでしょうか？

原題は An  Officer  and  a  Gentleman とそっけないのでして、ある意味日本の配給会社の方が題名のつけ方は上手だと思いました。