川 柳 |
■目も耳もたゞだが口は高くつき
色鮮やかな青葉やホトトギスの鳴き声はただで楽しめるけれど,初鰹を味わおうとするとびっくりするほど高価だ,俳句に詠むぶんには安いものさ,という皮肉たっぷりのパロディーである。
確かに現在でも他の魚と比べると高いような気がしますね。
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川 柳 |
■まな板に小判一枚初鰹
鰹がもてはやされるようになったのは戦国時代からだという。ひとつの逸話がある。
一五三七年(天文六),小田原で漁を見物していた北条氏綱の小舟に一尾の鰹が飛び込んだ。こじつけでカツオすなわち勝つ魚,戦さに勝つという名のめでたい魚を掌中にしたと氏綱は大喜びし,すぐさま兵を起こすや怒涛のごとく上杉朝定を打ち破り,武蔵の国を平定したというのだ。以来,武士は出陣の酒肴に鰹をさかんに用いては気勢を挙げ,徳川家も代々縁起物として賞味した。
この風習が町人のあいだにも普及し,やがて熱狂的なまでの初鰹礼讃となったらしい。値は当然のようにはね上がる。前掲の"目も耳もたゞだが口は高くつき"という川柳にそれは表われているが,もっと単純直截に詠んだのが,つぎの其角の句である。
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川 柳 |
■聞いたかと問へば喰つたかと答へる
目には青葉山郭公初松魚"という句をふまえている。ホトトギスの初音を「聞いたか!」という出会い頭のあいさつに,すかさず初鰹を「喰ったか?」と応じる。
ホトトギスの初音を「聞いたか!」という出会い頭のあいさつに,すかさず初鰹を「喰ったか?」と応じる。
確かに、ちょっと呑みに行って、鰹入荷などと書かれてたら思わず注文しちゃいます。
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川 柳 |
■あす来たら打(ぶ)てと桜の皮をなめ
ひさしぶりに鰹の刺身を楽しんだら中毒してしまった亭主が,女房に「明日あの魚売りのやつがまわってきたら,ぶんなぐってやれ」と桜の皮をなめなめ毒づいているのである鰹は,とれて二日ほどたったころがうまい。一本釣りの漁師もとりたては食べないものだという。
いっぽう,鰹は傷みやすい魚だ。保存技術が発達しないころは毒魚ともいわれ,生は敬遠された。鰹で食中毒をおこす,これを酔うといい,頭痛がして顔が真っ赤になるという。経験がないので真実のほどはわからないが,桜の皮をなめると治るとの言い伝えもある。
そこまでしても食べたかったのか?危ない魚は分かると思うが・・・。
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川 柳 |
「初松魚(はつかつお)女の料(りょう)る魚でなし」
高い初鰹は、慎重に料理する。気の小さい女性では、値段を聞いただけで手がすくむという。
確かに高いときは値段を見ながら恨めしく思うことが今も・・・。
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